プロキシとVPNは似た特徴を持っていますが、その違いって何なんだろう?とか、どうやって選べばいいの?と悩ましいことがあります。そこで、プロキシとVPNの特徴やメリットデメリットを整理し、どんなときにどちらを使えばよいかまとめてみました。
プロキシ(Proxy)は、インターネットにアクセスする際、仲介役として機能します。そのためプロキシを使うと、利用者のアクセスは実際にいる場所とは違う別のところから来ているように見えます。
例えば、日本にいながらUSA国内からしか利用できないWebサービスへアクセスしたいとき、USAにあるプロキシサーバーに接続し、通信を仲介させることでUSA国内でしか利用できないWebサイトへ日本から、もっと言えば世界中からアクセスすることができます。
・匿名でのWebアクセスが可能
・制限されたコンテンツへアクセス可能
いずれもプロキシが持つ「利用者のIPアドレスを変更することができる」という特徴のためです。プロキシ経由でアクセスされたサーバーからはプロキシサーバーのIPアドレスが見え、利用者自体のIPアドレスが見えません。
・ソフトウエア、アプリケーションごとに設定が必要
IEやChromeなどのブラウザにプロキシ設定をした場合、設定したブラウザではプロキシの利点を享受できます。一方で、メールや他の通信はそのままではプロキシ経由でのアクセスになりません。プロキシを利用したいソフトウエア、アプリケーションごとに設定が必要です。
・暗号化
プロキシ自体には暗号化機能がありません。通信を暗号化する場合はアクセス時のURLをhttps://から始めることでSSLでアクセスし自ら暗号化しましょう。
正式にはVirtual Private Networkと言います。その名前の通り、パブリックネットワーク(つまりインターネット)上における仮想的なプライベートネットワークという意味です。利用者はインターネット上にある対象デバイス・サーバーがあたかもプライベートネットワークに直接接続されているかのように通信してデータをやり取りすることができます。物理的な専用線は不要で、暗号化技術やセキュリティ方式によって実現しています。
・匿名でのWebアクセスが可能
・制限されたコンテンツへアクセスできる
・すべての通信が対象で暗号化される(個別設定は不要)
前者2つはプロキシと同様の特徴です。さらに、VPN接続を確立すると通信はすべてVPN経由で行われるためブラウザやメールなど個別に設定する必要はありません。
・パフォーマンス問題
接続元のマシンパワーを使ってVPN接続を行っているため、接続元端末のCPUやメモリによっては接続が遅くなることがあります。
・比較的利用料が高い
VPNは通常、プロキシサーバーよりも保守や使用が高額になるため、VPNサービスの利用料は比較的高くなりがちです。
プロキシもVPNも、アクセス対象とユーザーとの間に入り、仲介者・ゲートウェイとして機能します。そのため、プロキシとVPNのいずれを使用しても利用者の情報を匿名化(IPアドレスを変更)することができます。
・暗号化、プライバシー保護
VPNは通信が暗号化され、個別に設定しなくてもすべての通信がVPN経由でアクセスされるため、この点はプロキシより優れています。
・サービス利用料
VPNの方がプロキシより複雑な処理をしているため、その管理やメンテナンス費用も相対的にVPNの方が高くなりがちです。そのため、サービス利用料もVPNの方が高いことが多いようです。
・スピード
印象としては暗号化などの処理をしているVPNの方が遅い気がしますが、あまり差はないようです。むしろ、VPNでもプロキシでも同一サーバーでの利用者数や処理されている通信料とサーバースペックに依存するため、サービスプロバイダ次第となります。
プロキシもVPNもゲートウェイのように機能し利用者のIPアドレスを匿名化、変更することができます。IPアドレスを変えたい、匿名化したい、ということが主目的の場合はプロキシが、よりセキュアでプライバシーを重視したい場合はVPNがおすすめです。
・リモートワークで機密情報を安全に扱いたい場合
クラウドサーバーを使うことで場所に縛られず仕事ができる環境が整っています。ただ、会社や自宅以外の公共のWiFiを使う時などは、すべての通信内容を暗号化し機密情報や個人情報をしっかり守ることが重要です。
・海外などで公共のWiFiを頻繁に使う場合
公共のWiFiは暗号化されていないことが多く、ログイン情報などの重要な情報を入力する際には通信がSSL化されているかなど注意が必要です。安心してインターネットへアクセスするためにはすべての通信を暗号化してくれるVPNの方がおすすめです。
・Webサイトへアクセスする際にIPアドレスをマスク(匿名化)したい
何らかの理由で利用者のIPアドレスを見せずにWebサイトを閲覧したい場合、プロキシがおすすめです。
・地域制限のあるWebサイトを閲覧したい
海外のサイトを調査する際や、海外旅行時に日本のWebサービスを利用するときにアクセス元のIPアドレスで利用できないことがあります。そうしたときにはプロキシを使うことで任意の国からアクセスしているように見せることができます。
いかがだったでしょうか。プロキシとVPNの違いって何だろう、と疑問になりがちな部分をそれぞれの特徴、共通点、違いフォーカスして整理してみました。ケースによってフィットするサービスは変わってきます。皆さんの用途に応じて使い分けましょう。
それでは、Have a good Internet life!